上伯太線の被告準備書面を読んだ印象 |
しかしこの主張は到底市民には納得してもらえないでしょう。
まず市民感情から言っても、少年野球チームがそのグラウンドを長年使用していたとしても、一時的な使用のために、それもそのチームのためだけに6千万円もの税金を使うのはとんでもない事で、如何に工事期間が切迫していたとしても許される事ではありません。
更に法的にそのような事が許されるかどうかです。
もともとこのグラウンドの土地は惣ヶ池の造成で出来た堤塘上の土地で、当時の泉北水利組合(現泉北水道企業団:泉水)と王子等の地元町会と和泉市で覚書を交わし、この地を周辺住民の憩いの場として公共的な緑地として利用することを取り決めており、一少年野球チームが専用で利用する状況はこの覚書に反するものです。又少年野球チームがいろんな野球施設を持ち込んでいるようですが、上伯太線問題が発覚後、和泉市が泉水に確認したところ、泉北水道企業長から和泉市長への回答では、少年野球チームがそのようなものを持ち込むことは許可していないし、この土地を工事ヤードに利用後に王子グラウンドを元通りにすることも和泉市には要求していないと言っています。
ということは、少年野球チームが長期にわたってこのグラウンドをなし崩し的に専用の形で利用していただけで反射的利益に過ぎず、そのことで一利用者に過ぎない任意の団体である少年野球チームに何らかの権利が生じるものでもありません。書面では少年野球チームの了解が無いと、チームがこのグラウンドに居残り、工事が出来ないというような事を言っていますが、何ら権利の無い一利用者が居残るようなことは不法占拠に当たるもので許されませんし、和泉市が了解を得なければならないのは、少年野球チームでも、これを管理する町会でもなく、このグラウンドを施設した泉北水道企業組合です。先の回答では和泉市は泉北水道企業組合に一切相談せず、このグラウンドを工事ヤードとして使用し、泉北水道企業組合から工事の一時中止の申し入れがあったそうです。
和泉市は泉水に対し、上伯太線道路工事の施工に際し、王子グラウンドを工事ヤードとして使用することについて協議すれば、企業組合の構成員である和泉市の公共事業に関する申し入れに対し泉水がこれに応じないことはあり得ず、泉水はグラウンドの管理者の王子町会に対し、泉水と王子町会とのグラウンドの使用に関する契約書の「町会は公共事業のためにこのグラウンドを使用するときは協力する」の条項に従い、王子町会にグラウンド使用の終結を宣言すれば良いだけで、和泉北リトルリーグの了解を取る必要はさらさら無い話です。長く使用していた少年野球チームに対し和泉市が工事期間中に試用できる場所を探していたことは、道義的な側面からうなずけるものですが、せいぜいその限度に留まるべきで、多額の税金を使った代替グラウンドの建設はあってはならないことです。
同じような最高裁判決がありました。
現在この訴訟では、予算も無く、契約も行わずに工事を行った手続き上の問題は当面の争点になっていませんが、和泉市がこの訴訟に訴えたのは、損害賠償を求めることは勿論必要な事ですが、どうしてこのような杜撰な事務が行われたのかを解明するのが目的であった筈で、又この方がより基本的な問題です。原告からこれに関しても主張していただきたいものです。