文化財保護事業用地で住民監査請求 |

この件は今週月曜の朝日新聞の夕刊に大きく取り上げられ、皆様もよくご存じと思います。
この先行取得問題は私が一昨年のH16年から度々議会で取り上げ、市の対応を促してきた案件です。新しい井坂市長の誕生で、新たな展開を期待しましたが、従前と何ら変化が見えませんので、今回住民監査請求の形で早期処理を要請したものです。
今回の問題は新聞でも取り上げられましたように、大きく二つの問題を抱えています。
その一つは平成9年取得以来、土地価格の値下がりや保有金利の問題等で、現在6億近くの評価損(含み損)を抱えており、これが和泉市の負担になる可能性が大きいこと。
二つめは大阪府は現在においてもこの土地の買い取りを主として財政上の問題から困難と言っており、このままずるずる買い取りが伸びると更に和泉市の負担が増加するという問題です。
今回の監査請求は二点目について大阪府に早期買上を行うよう措置することを市長に求めています。
巨額の損失の問題は、現時点ではこの土地はまだ和泉市の土地開発公社が保有しており、和泉市に損失が発生していないので、監査請求は出来ません。いずれ損失が確定した段階で監査請求をする予定です。
この件は巨額の損失と相まって、大阪府と和泉市のやりとりが極めて不透明な事が大きな問題としてあります。大阪府と交わした書類は一切無い。全て信頼に基づく口約束。と言っていたのが突然取引条件等を記した確認書なるものが見つかったり、大阪府には帳簿価格で買い上げて貰えると言っていたのが、実は実勢価格で買い上げることが確認書で決められていたり、一連の動きが極めて不透明です。
8億を超える土地の取引について大阪府と交わした確認書の存在を忘れるなど考えられないし、当時この確認書の決裁文を起案した本人が現在も同じ教育委員会に在籍しており、決済した前稲田市長も一般質問での一連の答弁に何ら異を唱えませんでした。同時にH8年の当初予算書にこの土地の債務負担行為を記したページに大阪府との間に確認書がある旨メモがあるなど、当初の書類は一切無いと言っていたことは到底信用できません。
大阪府も当初は書類類は一切無いと和泉市と同じような事を言っていたのが、和泉市と機を一にして確認書があるとしたなど、極めて不自然な土地取引です。
更にこの土地を本当に取得しないといけなかったも大きな疑問点です。この土地が住宅地として開発される計画があるとして、これを阻止するため先行取得したと言っていますが、果たしてそうだったのでしょうか。毎年20%近くも土地が値下がりする状況で民間業者が住宅地として取得するでしょうか。少し待てばもっと安い値段で買えるわけですから。更にこの土地の周辺は出土品など多く発見されていることから、開発に当たっては調査に時間と費用を要し簡単には住宅地に出来ない特殊事情もあります。この様な状況で開発の話があったので先行取得したというのは説得力がありません。
又これを展示センターの建設用地として購入したわけですが、この展示センターなるものがどのような代物で、何故今必要で、どれぐらい費用がかかるものか等、市として議論して決定した節が全く見られません。思いつきで8億もの巨費を投入したとなるとそれも又問題です。
次に和泉市の対応ですが、何故大阪府の事業の為に和泉市が代わって取得したのか。更に土地の値下がりが続く中で、何故実勢価格で大阪府に譲渡するような条件としたのか。何としてもこの展示センターを建設しなければならない理由が和泉市にあったのか。疑問はつきません。
この様な背景をもとに今回大阪府に早期処理を促すよう市長に求めて監査請求しました。今回見つかった確認書を素直に読めば、平成12年度末には大阪府には買い上げる法的義務があり、財政問題などを理由にこれを拒否する権利は大阪府には無いというのが、こちらの考えです。
大阪府に気兼ねしたような事で、市民の税金をムダに使うわけにはいきません。
監査請求を通して主張していきたいと思います。
一点気になることがあります。この土地は現在土地開発公社が保有しています。土地開発公社の事については直接住民訴訟は出来ません。しかしこの土地は和泉市が土地開発公社に先行取得を委託したもので、土地開発公社はこれを和泉市以外に処分することは不可能で、和泉市は取得価格に金利やその他経費を含めて買い上げることが決まっているので、土地開発公社には損失は一切発生しない事になっています。形式的にはこの土地は土地開発公社のものですが、和泉市が保有しているのと何ら変わりがありません。形式論でこの監査請求を門前払いするような事の無いよう監査委員にお願いします。
この件は新聞でも取り上げられ多くの市民が知るところとなりました。監査委員にて十分の監査を行うことが市民への説明責任を果たすことになると思います。
仙台で図書館用地として土地開発公社が先行取得したが、これが実現せず他に転用を余儀なくされ、大きな評価損を抱える件で私たちと同じような監査請求がありました。そこでは実質的な監査が行われ、その後の住民訴訟についても裁判所は門前払いをしませんでした。和泉市監査委員のご賢察を期待しています。(仙台地方裁判所平成11年(行ウ)第23号)
住民監査請求