2007年 07月 29日
稲田前市長の給与返還訴訟控訴審敗訴 |
稲田前市長の逮捕拘留期間中の給与の返還を求めた控訴審の判決がありました。
よく通る裁判長の判決主文は控訴の棄却です。
1審の判決を支持し、控訴審での主張は容れられませんでした。
判決はの考え方は以下の通りです。
市長の職務は広範、多岐にわたり、その勤務の具体的形態も、外形的に認識可能なものから市政について思索をめぐらすといった内面的なものまで千差万別であって、いかなる行為が市長の勤務であるかについての客観的な判断基準が見出し難いことからすれば、市長の給料が実質的には市長の地位に対する対価ないし報酬としての性格を有すると評価し得る。
また、市長の職務の上記のような性格に加え、市長には、地方公務員法に定めるような服務に関する規律が存在せず、勤務時間、休日等の定めもないことに照らせば、いかなる場合に市長が「勤務しなかった」と評価すべきかの判断は実際上も困難である。このように考えると、市長について職員給与条例29条を準用して給与を減額するようなことは、そもそも予定されていないと解するほかはない。
のみならず、住民の直接投票によって選ばれた市長が捜査当局により逮捕・勾留されたというだけで、直ちにその職務を遂行できないものとみなして給与を支給しないことが実質的にも妥当であるとまでは肯定し難い。
即ち市長の給与は実質上その地位に対して支給されるもので、勤務時間、休日等の定めがない事を考慮すると、いかなる場合が市長が勤務しなかったと評価すべきの判断も又困難である。逮捕・拘留されたからと言って直ちに職務が遂行できないとも断定できない。
というものです。
岐阜県山形郡高富町(当時)の町長に対する岐阜地裁の逮捕拘留期間中の給与の返還訴訟と同一事案でありながら全く異なった判断がなされたことになります。
給与の減額を定めた給与条例29条を、市長の職務の特殊性の面から、本判決は市長への適用を予定していないと判断したのに対し、岐阜地裁はどのように適用すべきかを判断したものです。法律を適用する基本的立ち位置が違うように思えます。
前市長が逮捕・拘留されていた状態は市政に関与できない状態であり、現実にも全く関与がなかった訳ですが、それが裁判で認められなかった訳です。私たちの主張も不十分だったのでしょう。
判決文(PDF)
よく通る裁判長の判決主文は控訴の棄却です。
1審の判決を支持し、控訴審での主張は容れられませんでした。
判決はの考え方は以下の通りです。
市長の職務は広範、多岐にわたり、その勤務の具体的形態も、外形的に認識可能なものから市政について思索をめぐらすといった内面的なものまで千差万別であって、いかなる行為が市長の勤務であるかについての客観的な判断基準が見出し難いことからすれば、市長の給料が実質的には市長の地位に対する対価ないし報酬としての性格を有すると評価し得る。
また、市長の職務の上記のような性格に加え、市長には、地方公務員法に定めるような服務に関する規律が存在せず、勤務時間、休日等の定めもないことに照らせば、いかなる場合に市長が「勤務しなかった」と評価すべきかの判断は実際上も困難である。このように考えると、市長について職員給与条例29条を準用して給与を減額するようなことは、そもそも予定されていないと解するほかはない。
のみならず、住民の直接投票によって選ばれた市長が捜査当局により逮捕・勾留されたというだけで、直ちにその職務を遂行できないものとみなして給与を支給しないことが実質的にも妥当であるとまでは肯定し難い。
即ち市長の給与は実質上その地位に対して支給されるもので、勤務時間、休日等の定めがない事を考慮すると、いかなる場合が市長が勤務しなかったと評価すべきの判断も又困難である。逮捕・拘留されたからと言って直ちに職務が遂行できないとも断定できない。
というものです。
岐阜県山形郡高富町(当時)の町長に対する岐阜地裁の逮捕拘留期間中の給与の返還訴訟と同一事案でありながら全く異なった判断がなされたことになります。
給与の減額を定めた給与条例29条を、市長の職務の特殊性の面から、本判決は市長への適用を予定していないと判断したのに対し、岐阜地裁はどのように適用すべきかを判断したものです。法律を適用する基本的立ち位置が違うように思えます。
前市長が逮捕・拘留されていた状態は市政に関与できない状態であり、現実にも全く関与がなかった訳ですが、それが裁判で認められなかった訳です。私たちの主張も不十分だったのでしょう。
判決文(PDF)
by onbuz
| 2007-07-29 16:07
| 市長給与住民訴訟